般若心経画のこと〜始まり〜
初めて般若心経と絵を混ぜようと考えたのは2015年でした。
私が絵を描く理由は『もっとみんなの笑顔を増やしたい』なのですが、もっと笑顔を増やす絵を描くにはどうしたら良いか考えていた時でした。
筆文字をいきものを宿す感覚で書くのが好きだったので、絵の中に文字を入れてみようと思いました。
歌詞、昔話、偉人の言葉、ことわざや百人一首もありますが、文字数が少ないのでもっと長くてメッセージ力のある文字の集まりを探していた時に出会ったのが『般若心経』でした。
始めは文字数が丁度いいのと、意味はわからないけどきっとありがたい内容なんだろうという理由でとりあえず描いてみました。
しかし、描き進めていくうちに般若心経の奥深さと厳しさに惑わされるのでした。
1. どこで区切ったら良いのか…
2. どんな事言ってるんだろう、和訳を読んでもイマイチわからない…
3. 紙に収まらなかったり、余白が出過ぎたりと構図が定まらない
4. 描き損じたら即終了→これが一番キツかったです…。
でもなぜか辞めようと思いませんでした。
きっとこれは、もっと多くの笑顔を増やすための私に課された修行なんだ。修行を続けることで新しい自分が見えるはずだ!
そう思いながら毎日修行させていただいています。
1と2については、作品を展示するたびにお客様から教えていただいたり、自分で調べたりして少しずつ解釈できるようになりました。
3は、数をこなすことで少しずつ慣れていきました。
4は、般若心経は“骨格”であり写経に集中する、絵は“肉付け”であり『空』の感覚で絵を描くとしました。
今ではこのスパルタ集中力合戦がとっても心地よく、作品にもきっと表現されてきていると思います。
そして、構想から1年経った2016年、やっと第一号の『KYOGA』が出来上がりました。
原画サイズ、580×790mmの大きいサイズです。ランダムに描いた般若心経を、思いのままに繋げた作品です。
ここから私はもっと般若心経画に取り憑かれたようにのめり込んでゆくことになります。